コインランドリーで失踪

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文体の舵をとれ第四章(一問目)

アーシュラ・K・ル=グウィン『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』の第四章を読んだ。それで、練習問題が二問あるのだが、それがなかなか難しく更新が滞ってしまった。体調を崩していたこともあってなかなか取り組めず、まだ二問目は書けていない。ブログが更新できず全てがフェードアウト……というのが一番避けたい展開なので、一問目が書けた時点で公開することにした。第四章の二問目は保留にして、一旦次へ進もうと思う。

 

練習問題1:語句の反復使用

一段落(三○○文字)の語りを執筆し、そのうちで名詞や動詞または形容詞を、少なくとも三回繰り返すこと(ただし目立つ語に限定し、助詞などの目立たない語は不可)。(これは講座中の執筆に適した練習問題だ。声に出して読む前に、繰り返しの言葉を口にしないように。耳で聞いて、みんなにわかるかな?)

 

 ハムはもんどり打って倒れた。弾丸が貫通した周囲の肉が弾け、ジュッと焦げ、ミンチの火花が広がった。次々に撃つ。ドヨン、ビャンとハムがもんどり打つ。脂の焦げた旨そうな匂いが漂ってくるも、あまり食欲をそそられる光景ではない。エイムは自分もと言って聞かず、身長と同じほどの銃を持ち、隣でハムを狙っている。構えだけは一丁前だ。撃った。衝撃を殺せず後方に吹き飛ばされる。エイムは小麦袋にぶつかりもんどり打った。兄たちは心配そうに後方を伺ったものの、彼の放った弾丸がハムどもにダメージを与えたこともきちんと見届けていた。この小さな戦士に差し伸べるべきは庇護の手ではなく、戦友の手であった。

 

「もんどり打つ」。
最初書き上げたときには400字を越していたが、文字数に忠実に書くのも練習だなと思い、300字程度に削った。
お笑い用語の「天丼」を思い出した。実際、目立つ語やフックになる言葉を繰り返し用いて文体や情調をつくるという技術は「天丼」とやっていること同じだと思う。

 

練習問題2:構成上の反復
語りを短く(七○○~二○○○文字)執筆するが、そこではまず何か発言や行為があってから、そのあとそのエコーや繰り返しとして何らかの発言や行為を(おおむね別の文脈なり別の人なり別の規模で)出すこと。
やりたいのなら物語として完結させてもいいし、語りの断片でもいい。

 

未回答。一旦、第五章に進みます。

 

文体の舵をとっていて、第四章で完全に凪の海域へ入ってしまったわけだが、少しの風でも頼りにしてどこかへ進まなければならない。少し前に書いた小説を読み返していたのだが、「ここはもっとこうした方が良くない!?」と気になる箇所が出るわ出るわ。まさかこんなに早く文舵の効果が出るとは考えがたいが、潜在的には少しずつ何らかの変化が起こっているのかもしれない。……と信じて先へ進む。